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地球温暖化の基礎知識
1.地球温暖化問題とは何か
「地球温暖化」とは、二酸化炭素などの温室効果ガスが増加することにより、地球全体の平均気温が短い年数のうちに急速に上昇してしまうことです。2100年の世界地上平均気温は、産業革命前と比較して1.0~5.7℃上がると予測されています。
通常、地球の平均気温は約15℃に保たれています。これは二酸化炭素などの温室効果ガスが、ちょうど温室のガラスのように地球をおおっているからです。ところが、18世紀の産業革命以降、人間の活動により化石燃料が大量に使用されるようになりました。その結果、地球をおおっている二酸化炭素が急速に増加したことで、これまでより温室効果が高くなり、地球の平均気温が上昇しています。
2.地球温暖化による影響
世界の各地で地球温暖化による影響とみられている異常気象などが頻発し、すでに私たちの生活を脅かしています。日本でも非常に強力な台風が上陸し、多くの被害を受けています。
2021年、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は第6次報告書の中で、人間が地球温暖化を引き起こしたことは疑う余地がないと断言し、これまでどんな影響があったか、これから先にどんなことが起きるのかという報告・予測をしました。
気温の上昇
- 現状以上の温暖化対策をとらなかった場合、今世紀末には、3.3から5.7℃上昇する(厳しい温暖化対策をとった場合でも、1.0から1.8℃上昇)
海水温の上昇
- 1970年代以降、海の表面から深海(推進700メートルまでの層)が人間の影響で温暖化している
海面水位の上昇
- 世界の平均海面水位は、1901年から2018年で20センチ上昇している
- 今世紀末には最大101センチ上昇すると予測されている
- 2019年9月に、「海洋と雪氷圏」に関する特別報告書を公表し、世界の平均海面は2100年に最大1.1メートル上昇する可能性があると予測されている
高波で壊された民家(マーシャル諸島イバイ島)
写真出典:「全国地球温暖化防止活動推進センターホームページ(外部サイトへリンク)」より
熱波の頻度が増える
- 熱波の頻度が増え、より長く続く可能性が非常に高い
- 食糧生産への影響(20世紀後半より気温が2℃上昇すると、主要穀物(米、麦、トウモロコシ)の生産量が減り、4℃の上昇で大打撃を受ける)
降雨不足により干上がる沼。(ブルキナファソのサヘル地域)
写真出典:「全国地球温暖化防止活動推進センターホームページ(外部サイトへリンク)」より
そして、IPCCは、「石油や石炭を大量に使う人間が温暖化を引き起こしている可能性が極めて高い」という指摘をしています。
3.国際的な動き
地球温暖化防止に関する対策として国際的には、1992年に国連気候変動枠組条約が採択され、同年の国連環境開発会議(地球サミット)では、世界中の多くの国が署名を行い、1994年には条約が発効されました。
また、これを受けて締約国会議が1回目のドイツのベルリン(COP1)から始まり、「温室効果ガスの排出および吸収に関し、特定された期限の中で排出抑制や削減のための数量化された拘束力のある目標」を定めることが決められました。1997年には、地球温暖化防止京都会議(COP3)が開催され、京都議定書が採択されました。
2015年には、パリにおいてCOP21が開催され、京都議定書に代わる温室効果ガス削減のための新たな国際的なルールとして「パリ協定」が採択されました。
これにより、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇幅を2度未満、できれば1.5度未満に抑えるよう努力するという長期目標が合意され、2016年11月、協定が発効されました。
3.我が国の対応
パリ協定の採択を受け、我が国では新たな「地球温暖化対策計画」を策定し、2016年5月に閣議決定しました。温室効果ガスを2030年度に2013年度比26%削減する中期目標の達成に向け、家庭やオフィスの照明を全て発光ダイオード(LED)など高効率のものに切り替えるなど、家庭・業務部門の排出量を約4割削減することを盛り込んでいます。
エネルギー起源二酸化炭素の各部門の排出量の目安
単位:百万t-CO2
部門 | 2005年度 実績 |
2013年度 実績 |
2030年度の 各部門の 排出量の目安 |
|
---|---|---|---|---|
エネルギー起源CO2 |
1,219 |
1,235 |
927 |
|
部 門 ご と 内 訳 |
産業部門 |
457 |
429 |
401 |
業務その他部門 |
239 |
279 |
168 |
|
家庭部門 |
180 |
201 |
122 |
|
運輸部門 |
240 |
225 |
163 |
|
エネルギー転換部門 |
104 |
101 |
73 |
削減計画の対象となっている温室効果ガス
ガス種類 |
人為的な発生源 |
|
---|---|---|
二酸化炭素 (CO2) |
エネルギー起源 | 電気の使用や暖房用灯油、自動車用ガソリン等の使用により排出される。排出量が多いため、京都議定書で対象とされる6種類の温室効果ガスの中では温室効果への寄与が最も大きい。 |
非エネルギー起源 | 廃プラスチック類の焼却等により排出される。 | |
メタン(CH4) | 自動車の走行や、燃料の燃焼、一般廃棄物の焼却、廃棄物の埋立等により排出される。 二酸化炭素と比べると重量あたり約21倍の温室効果がある。 |
|
一酸化二窒素(N2O) | 自動車の走行や燃料の燃焼、一般廃棄物の焼却等により排出される。 二酸化炭素と比べると重量あたり約310倍の温室効果がある。 |
|
ハイドロフルオロカーボン(HFC) | カーエアコンの使用・廃棄時等に排出される。 二酸化炭素と比べると重量あたり約140から11,700倍の温室効果がある。 |
|
パーフルオロカーボン(PFC) | 半導体の製造、溶剤等に使用され、製品の製造・使用・廃棄時等に排出される。 二酸化炭素と比べると重量あたり約6,500から9,200倍の温室効果がある。 |
|
六ふっ化硫黄 (SF6) |
電気設備の電気絶縁ガス、半導体の製造等に使用され、製品の製造・使用・廃棄時等に排出される。 二酸化炭素と比べると重量あたり約23,900倍の温室効果がある。 |
|
三ふっ化窒素 (NF3) |
半導体製造でのドライエッチングやCVD装置のクリーニングにおいて用いられている。 |
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ページ更新日:2022年10月27日