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情報化推進計画【第二版】(概要版)

第1章「基本的な考え方」 

情報化推進計画策定の目的

近年、情報通信技術(Information and Communication Technology 以下「ICT」という。)の急速な発達と、それに伴う情報関連サービスの拡大により、私たちの生活スタイルは大きく変化しています。国や地方自治体は、この変化に合わせ、高度情報化を推進するため、様々な事業を行ってきました。本市においても、これまで2003年3月に「焼津市情報化推進計画(2003年度~2008年度、以下「前計画」という)」を策定し、焼津市の情報化施策の実施に取り組んできました。

前計画策定以降、社会における情報化の進展はめざましく、産業や経済活動のみならず、市民生活を営む上で、大きな変革をもたらしました。今後も経済情勢、社会構造の変化により、市民のニーズは益々多様化・複雑化していくことが考えられます。

当市の情報化施策もこのような状況変化に対応すべくICTを有効に活用し、更なる市民サービスの向上、行政運営の効率化を図る必要があります。

前計画の期間は、2008年度までの6年間としておりましたが、平成20年に焼津市と大井川町の合併が行われることから、2年間延長しておりました。

2008年度の合併時に行われた情報システムの導入状況を踏まえて、新たな「焼津市情報化推進計画(以下「本計画」という。)」を策定し、引き続きICTを活用した行政情報化や地域情報化への取り組みを推進していくこととします。

計画の位置づけと期間

第6次焼津市総合計画(計画期間:2018年度~)を上位計画とし、本市の各種計画や施策を実現するために、情報化の視点で捉えた計画とします。その上で、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(2000年)に沿って、本市の情報化の基本的な方向性と具体的な取り組み方針を示すものとします。

前計画における基本理念およびビジョンが、今こそ、まさに求められていることであるため、本計画は、全面改定ではなく前計画の基本理念を継承しつつ、最新の情報化施策の考え方を取り入れることとします。

計画期間は、2012年度から2018年度までの7年間としますが、計画作成後においても、社会情勢の変化、技術革新、国の指針や焼津市における情報化推進の実施状況などを考慮しながら、必要に応じて計画の見直しを行っていきます。

なお、本計画を「官民データ活用推進基本法」(2016年)に基づく、本市における「官民データ活用推進計画」として位置づけ、国や県の情報化施策との整合を図り、情報化を取り巻く環境の変化に対応した新たな事業計画を具体的に明記して、事業の推進を図ります。

第2章「情報化の動向」 

国の取り組み

わが国では、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(通称「IT戦略本部」)が、5年でわが国を世界最先端のIT国家とすることを目標として策定した「e-Japan戦略」(2001年)、そしてそれに続く「e-Japan戦略2.」(平成2003年)などの計画の実施により、社会の高度情報化の推進を図ってきました。そして、一連の「e-Japan戦略」の成果を踏まえて総務省が提唱した「u-Japan政策」(2006年)では、「ユビキタスネットワーク社会」の実現が目標に掲げられています。これは、利用者が「意識することなく、いつでも、どこでも」ネットワークに繋がることができるようになり、情報化の恩恵を受けることができる社会を目指すものです。

その後、国民一人一人がITの恩恵を実感できる世界最高水準のIT国家となるために必要な政府の取り組み等を取りまとめた「世界最先端IT国家創造宣言」(2013年)が閣議決定され、改訂を行いながら政策が推進されてきました。

また、近年、データ流通量の飛躍的な増大と人工知能(AI)等の発展によって、人間の処理能力を超えた範囲でのデータの利活用が可能となり、データの利活用を社会全体に拡げることで、社会課題の解決が図られる可能性が高まっています。このような状況を踏まえ、官民のデータ利活用のための環境を総合的かつ効果的に整備することを目的に、「官民データ活用推進基本法」(2016年)が施行されました。

基本法では、国や地方自治体に対して官民データ活用の推進に関する計画の策定を求めており(市町村は努力義務)、国は、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2017年)を策定しました。

本市の現状と課題

2008年度において、焼津市と大井川町との合併を機に、ホストコンピュータを利用した方式から、主にサーバを使用した個別システムに移行したことにより、情報システムの運用管理の方法に変化が生じています。個々の業務システムの管理は、利用者である業務担当課が中心に行うこととなったことから、分散したシステムを市全体としてどのように方向付けしていくかが課題となっています。また、マルチベンダ環境の中、技術進歩の著しい情報通信技術やWebアプリケーションに関する知識を前提とした業務にどう対処するか等も新たな課題となっています。さらに、個人情報保護対策や情報セキュリティ対策のより一層の充実が求められています。

このような課題がありますが、厳しい経済情勢、社会情勢の中、より一層の効率的行政運営が求められており、情報政策部門においても例外ではありません。限られた予算、人材配置の中でどの様な組織体制を構築するかが喫緊の課題となっています。

第3章「基本理念とビジョン」 

基本理念とビジョン

基本理念と3つのビジョン、基盤整備の概念図

 

本計画においても前計画の基本理念及びビジョンを継承していきます。

  • ビジョン1:業務のスリム化・効率化による高度な行政経営の実現
  • ビジョン2:顧客やパートナーである市民への多様で充実したサービスの提供
  • ビジョン3:市民とのコラボレーションによるまちづくりの推進

基本理念を実現する3つのビジョンのうち、「ビジョン1」は庁内におけるICT活用のイメージ、「ビジョン2」は市と市民とを結ぶインターフェイスとしてのICT活用のイメージ、「ビジョン3」は市民と協働し、地域の活性化や街づくりを推進していくイメージを表しています。

これらの3つのビジョンを支える基盤として、「(1)職員の意識改革の推進」、「(2)情報化推進体制の強化及び研修の充実」、「(3)情報セキュリティ対策の徹底」、「(4)情報通信基盤の整備」に取り組んできました。

前計画期間中において、「ビジョン1」に対する取り組みは、ほぼ達成していますが、「ビジョン2」及び「ビジョン3」に対する取り組みが今後の検討事項として残っています。

また、基盤整備については、情報セキュリティ対策や情報通信基盤の整備等を中心に整備されてきましたが、平成20年度の合併を機に組織や情報システム体制が大きく変わったことから新たな情報推進体制の整備が求められています。

これらのことを踏まえて、本計画では、費用対効果等を考慮し、「市民の視点に立ち、市民とともにつくるeYaizu(いい焼津)」を目指して取り組んでいきます。

各ビジョンを実現するための施策

各ビジョンを実現するための施策図

ビジョン1:業務のスリム化・効率化による高度な行政運営の実現

  1. グループウェアやイントラネットを活用した情報の共有および電子会議室を活用した議論の活発化
  2. 行政評価システムによる経営資源と活動の適正管理とパフォーマンスの向上
  3. 電子決済や文書管理システム導入による意思決定の迅速化・業務の効率化および庶務事務の電子化による業務負担の軽減
  4. データ連携の改善や正確性の向上による基幹系業務の効率化
  5. デジタル地図の活用による既存業務の効率化と住民情報と連動させた新たな政策立案への活用

ビジョン2:顧客やパートナーである市民への多様で充実したサービスの提供

  1. 自宅、コンビニなど、身近な場所からの行政手続きや支払い、行政相談の実現
  2. インターネットの利用環境の整備による市民とのコミュニケーションの活性化
  3. 障害の有無や年齢、国籍に関わらず、すべての市民が満足のいくサービスを受けられる環境の整備
  4. 市民一人一人のニーズに対応した情報提供やサービス案内の実現
  5. 電子アンケートや電子会議室などの活用による行政活動への市民参加の促進

ビジョン3:市民とのコラボレーションによるまちづくりの推進

  1. 安心で安全なまちづくりを支援する仕組みの整備
  2. 健康な市民生活を支援する情報やサービスの充実
  3. 快適で住みやすい住環境を実現する情報やサービスの充実
  4. 新たな文化・産業を形成する環境・人材の育成
  5. 既存産業の活性化と新たな産業の育成

基盤整備

1.職員の意識改革の推進
  • 人事評価システムの導入実施
  • 行政評価システムの導入実施

2.情報化推進体制の強化及び研修の充実
  • 情報政策部門の強化
  • ITリテラシー向上のための全庁的研修
  • 専門知識を持った民間人材の活用

3.情報セキュリティ対策の徹底
  • 情報セキュリティポリシーの徹底
  • 個人情報保護対策の徹底

4.情報通信基盤の整備
  • 地域イントラネットの活用および利用促進
  • 庁舎間ネットワーク環境の強化

 

第4章「業務のスリム化・効率化による高度な行政経営の実現」

方向性

1.庁内における情報利用、情報共有を推進し、業務の効率化に努めます

2.行政評価の手法を活用し、計画と予算・決算、組織編成、人事管理などとの連動を図り、効果的で効率的な行政運営を推進します

3.統合型GIS(地理情報システム)については、2007年に地理空間情報活用推進基本法NSDI法)が施行され、地理空間情報を高度に活用できる社会の実現を目指していることから、GISの効果を見極め、行政の効率化、行政サービスの質的向上に努めます

 

第5章「顧客やパートナーである市民への多様で充実した市民サービスの提供」

方向性

1.「いつでも、どこでも」申請・届出、相談ができる仕組みを構築します

電子窓口推進事業

現在、市役所の窓口対応は開庁時間内に限られており、閉庁時は市民の具体的な問い合わせに対応することができません。しかし、ライフスタイルの多様化が一般化した今日、いつでも市民からの相談に対応できる行政サービスの必要性が高まっています。

そのため本市では、人工知能(AI)がインターネット上の市民からの問い合わせに自動回答する「AIチャットボットを活用した相談窓口」を設置します。

このシステムは、AIが、あらかじめ用意されたよくある質問(FAQ)に基づいて回答するもので、対話型の「チャット」により質問を絞り込むため、質問者に具体的な答えを返すことができます。これによりスマートフォンやパソコンなどを使用した問い合わせに、24時間、365日対応できるようになり、市民サービスが大きく向上します。

2.ユニバーサルデザインを取り入れた市民に分かりやすい情報提供を図ります

 

第6章「市民とのコラボレーションによるまちづくりの推進」

方向性

1.ICT技術を積極的に活用し、市民が必要とする情報の提供及び交流が行える環境を整備していきます

新型戸別受信機の導入

市では現在、同報無線、携帯電話やスマートフォンを利用した「やいづ防災メール」、ホームページでの情報掲示など、情報伝達手段の多様化を図り防災情報を伝達しています。

しかし、同報無線の放送は周辺環境などによって聞こえにくい場合があり、特に大雨などの悪条件時には建物内で聞き取ることは困難です。また、防災メールやホームページなどといった情報伝達手段も、高齢者や障害者などの情報弱者にはなかなか普及が進んでいません。

このような背景から、災害発生時に全ての市民が平等に緊急情報を取得できる環境を目指し、建物内でも確実に情報を受信できる「ラジオ型」と「テレビ接続型」の2種類の新型戸別受信機を導入します。

これにより、今まで災害情報の取得方法が限られていた高齢者や障害者なども、自身の状況に合った受信機を選択することができるようになります。

2.市立病院と開業医、病院の情報ネットワークによる連携の強化を図り、地域医療サービスの高度化を進めていきます

3.情報通信技術を活用した教育分野の情報化施策を進めていきます

 

第7章「基盤整備」

方向性

1.ICT知識を持ち、現場ニーズを政策に反映できる企画立案、折衝能力を備えた職員や、システム調達、プロジェクト管理等を適切に行うことのできる職員などの人材育成に努めます

2.クラウドコンピューティングなど新技術に対応できる先進性と専門性を持つ組織体制の確立に努めます

3.情報セキュリティポリシーの徹底を図ります

4.電子市役所の情報通信基盤である、総合情報ネットワーク(LGWAN)、住民基本台帳ネットワークを市民サービスの向上に有効なネットワーク基盤として捉え、他の地方公共団体と歩調を合わせて整備します

5.出先機関と接続するネットワーク環境を強化・拡充します

避難所等における無線通信環境の整備及び庁舎間ネットワークの多重化

災害発生時、通信集中による障害で市民所有のスマートフォンなどでは、災害情報の入手が一時的に困難になることが想定されます。また、災害で市役所庁舎間をつなぐ有線回線に障害が起きた場合、業務に大きな支障が発生します。

そのため本市では、地域広帯域移動無線アクセス(以下「地域BWA(Broadband Wireless Access)」という)システムを活用し、避難所等における無線通信(Wi-Fi)環境の整備と、庁舎間ネットワークの多重化を目指します。

地域BWAは、サービス区域を1市町村内に限定した高速、大容量の無線システムで、暮しの中の幅広い分野でのICTの利活用に有効な技術です。

行政が優先制御により通信を確保することができ、災害時でも通信集中による障害が起こりにくく、高速データ通信が可能となります。この地域BWAを活用し、避難所等に対応したアクセスポイントや情報端末を設置することで、市民は避難時でも災害情報を入手することが可能になるほか、庁舎間の有線ネットワークのバックアップ回線としての役割も期待できます。
この取り組みを実施するために、まずは自治体と地域の通信事業者が協定等を締結し、地域の公共の福祉に寄与するサービス計画を作成する必要があります。

 

 

このページの情報発信元

焼津市 行政経営部 DX推進課  

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ページ更新日:2024年2月1日

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