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方言「な行」
な(5)
- なかまっこ
- なにっか
- ならい
- なりき
- なるい
なかまっこ
意味
共有
使用例
「おもちゃは、なかまっこよ。」
(「おもちゃはみんなで使いましょうネ。」)
解説
マーちゃんがおもちゃで遊んでいます。そのおもちゃを他の子どもが使いたがっていますが、マーちゃんは独り占めして、おもちゃを子どもに貸しません。それを見て、お母さんが「マーちゃん、おもちゃは、なかまっこよ」と言っているところです。
なにっか
意味
いろいろ(な物)
使用例
ポチとタマがなにっか持ってきちゃってしょんないよ。
(ポチとタマがいろいろな物を持ってきて困ります。)
ならい
意味
北東
使用例
今日はならいの風だて明日は雨ずらよ。
(今日は北東の風だから明日は雨でしょう。)
解説
「ならい」という語は、東日本の海沿いの地方で使われた語で、本来は冬の寒い時期に吹く風のことをいいました。風向きは、その地方によって異なり、当地では北東(東)の風をさしますが、千葉の銚子では、北西(西)風のことを「ならい」と言ったようです。
なりき
意味
ぞんざい
使用法
そんねぇなりきじゃあ茶わんにえみがへえるぞ
(そんなにぞんざいに扱うと茶わんに割れ目が入るよ)
解説
なりきは、物事のやり方取り扱いが丁寧でなく、乱暴でいいかげんな様をいいます。このような人を「なりきっさあ「と言って軽べつされました。父や母に言いつけられた仕事を、精を出さず、ぞんざいに扱うと「なりきだ」としかられたものです。また、石や陶器、板などに割れ目が入ることを、えみ、いみ、いみり、などと言いました。
なるい
意味
物足りない、薄い、軽い
使用例
今日のみそ汁の味は、ちーっとなるいなあ。
(今日のみそ汁の味は、ちょっと薄いなあ。)
解説
標準語にも「なるい」という言葉があり、こちらは「なだらかな様」「穏やかな様」を表す。
に(0)
ぬ(1)
- ぬくとい
ぬくとい
意味
あたたかい
使用例
今日は風んなくてぬくといからひなたぼっこでもするか。
(今日は風がなくてあたたかいからひなたぼっこでもしようか。)
解説
「ぬくとい」という言葉は、あたたかい、という意味のぬくいが変化してできたと考えられます。
ね(4)
- ねーたたかす
- ねえる
- ねこんざい
- ねぶったい
ねーたたかす
意味
煮え立たせなさいよ
使用法
早くねーたたかすさよ。
(早く煮え立たせなさいよ。)
ねえる
意味
寝入る
使用例
今、赤ん坊がねえったばっかだで静かにしておくう。
(今、赤ん坊が寝入ったばかりだから静かにして下さい。)
解説
日本語には「橋」と「箸」、「正確」と「性格」のように、音が同じで、意味が異なる同音異義語があります。この「ねえる」という語も子どもなどが「寝入る」という意味と、物が「煮える」という2つの異なった意味がありました。「ねえる」は、方言の同音異義語であると言えます。
ねこんざい
意味
残らず
使用法
やいやいかにょうねこんざいぬすまれた。
(あれあれお金を残らず盗まれてしまった。)
解説
ねこんざいは、残らない、すっかり、全部というときに使われた方言のようです。
ねぶったい
意味
ねむい
使用法
「なんだか最近ねぶったいやあ。あったかくなってきたからかしん。」
(「なぜか最近ねむいなあ。あたたかくなってきたからかなあ。」)
の(6)
- のす
- のっこす
- のっつそっつ
- のま
- のろこくた
- のんばめる
のす
意味
のぼる
使用例
そんねん高いとこへのすとあぶんないで降りてこい。
(そんなに高いところへのぼるとあぶないから降りてきなさい。)
解説
「のす」という語は、本来「のびてゆく」「(地位や成績などが)上がる」といった意味です。
当地では、それが転じて、「(木に)のぼる」とか「(仕事が)はかどる」などの意味でも「のす」という語を使いました。
のっこす
意味
追い越す
使用例
休んでいるまに、のっこしちゃった。
(休んでいる間に、追い越しちゃった。)
解説
他に「乗り越える」の意味もあります。
のっつそっつ
意味
苦労する
使用例
さっきおまんじゅうを食べちゃったもんだでラーメン食べるのにのっつそっつしちゃうよ。
(先ほどおまんじゅうを食べてしまったからラーメンを食べるのに苦労するよ。)
解説
「おなかがいっぱいで胸がつかえ、のどを通らない様」を表します。
標準語にも「のっつそっつ」という言葉があり、こちらは「のびたりそったり。することがなく退屈な様」を表します。
のま
意味
土ぼこり
使用例
今日は風が強くてのまんきついで水をまくか。
(今日は風が強くて土ぼこりがひどいので水をまきましょう。)
解説
冬の西風は、寒さだけではなくやっかいな「のま」も運んできます。「のま」という言葉は、もともと「沼」のことを指していました。それが転じて沼や川のほとりにある細かい土や土ぼこりのことを「のま」と言うようになりました。
のろこくた
意味
おそい、ぐずぐず
使用例
なにょうのろこくたしてるだ。ずんずん行くさよ。
(なにをぐずぐずいしているの。どんどん行きなさいよ。)
のんばめる
意味
てこずって
使用例
そんなにもちょーくれたってのんばめちゃって食べぇねぇーよ
(そんなにおもちをくれてもてこずって食べきれないよ)
解説
「のび、ばてる」あるいは「飲む、食む(はむ)」が転じて使われたものなのでしょうか。のどに食べ物がつかえて飲み込めなかったり、むずかしくできにくかったりする時に使いました。
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ページID:1585
ページ更新日:2023年7月27日