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【技術者インタビュー】 吉川俊彦氏(青島ポンプ工業株式会社)

見えないところで街を支える「設備のプロ」
学校の安全な水を守る現場の工夫、技術者としての歩み、そしてこれからの建設業の未来について、吉川さんにお話を伺いました。(以降敬称略)
天井裏や壁の中に隠れた「職人技」を評価する〜組織で高める技術力〜
インタビュアー:吉川さん、まずは今回の受賞おめでとうございます。青島ポンプ工業さんでは、昨年度も静岡県住宅供給公社の優秀工事表彰を受賞されるなど、素晴らしい実績を重ねられていますよね。
吉川:ありがとうございます。昨年度の公社表彰は、若手社員である岡田が現場を担当したものでした。数年前にも竹野が建設マスター(優秀施工者国土交通大臣顕彰)を頂いております。
インタビュアー:20代の若手からベテランまで、高い技術がしっかり継承されているのは本当に素晴らしいことです。社内で何か特別な取り組みをされているのですか?
吉川:特別なことというよりは、会社全体で「工事成績評定で80点以上を目指す」という明確な目標を設定しています。そのうえで、定例の社内会議を通じて新しく変わった書類の書き方や、安全管理、現場での創意工夫の事例など全員で共有しています。
インタビュアー:やはり組織としての「共有知」があるのですね。ただ、土木や建築と違い、給排水や空調などの「設備工事」は、完成すると天井裏や壁の中に隠れてしまって、見映えとしての凄さが一般の方や評価者に伝わりにくい苦労がありませんか?
吉川:まさにその通りです(笑)。建築のように目に見える形に残るというよりは、僕たちは「見えないところでの勝負」になります。だからこそ、現場の細やかな工夫や確実な施工、丁寧な書類作成で信頼を積み重ねていくことが大切だと考えています。
生徒の学校生活を止めない!断水ゼロを実現した驚きのノウハウ
インタビュアー:今回の小川中学校の工事も、一見すると地味に見えるかもしれませんが、裏での工夫が目を見張るものでした。改めて今回の工事の概要を教えていただけますか?
吉川:老朽化が進み、災害対策の面でも課題があった既存のFRP製受水槽を、耐震性の高いステンレス製の受水槽に交換する工事でした。併せて、水を送り出す揚水ポンプ2台と消火栓用ポンプ1台の更新も行いました。

インタビュアー:学校では普段通り生徒さんや先生方が生活されている中での施工でしたが、一番驚いたのは「断水時間がほぼゼロ」だったことです。仮設の水槽を設けて切り替えたとお聞きしましたが、言葉でいうほど簡単なことではないですよね。
吉川:そうですね。どこでどう切り替えて配管を屋上まで回すか、現場での作業時間をいかに短縮するかを徹底的に計画しました。実は弊社では、市内のさまざまな小中学校の給排水設備工事を長年手掛けさせていただいております。そのため、「どの学校がどういう配管ルートになっているか」というノウハウが社内に蓄積されているんです。
インタビュアー:市内小中学校の構造を知り尽くしているからこそできた、まさに神業ですね!
吉川:さらに、耐震性能だけでなく「大規模地震が起きた後の運用」も考慮しました。今回の受水槽には大きな揺れを感知すると水漏れを防ぐ「緊急遮断弁」がついていますが、万が一校舎内の配管が破断しても、タンクの中の大切な水を逃しません。さらに、避難所となった際に受水槽から直接応急給水ができるよう、災害時の動線や使いやすさを考えて、設計時点の配置から向きや位置の調整を市と協議をして変更させていただきました。
インタビュアー:配管の電蝕(サビや腐食)を防ぐため、経年劣化する防食テープではなく高機能な防食バンドを採用されるなど、将来のメンテナンスまで見据えた提案には本当に感服いたしました。
通学路の整備からホタルの研究まで〜地域・生徒との温かい交流〜
インタビュアー:技術面だけでなく、学校現場への配慮も素晴らしかったです。雨が降るとぬかるんでしまっていた生徒さんの通学路に砂利を敷いて、きれいに整えられたそうですね。教頭先生をはじめ、学校側も大変喜ばれていました。
吉川:現場に入った際、生徒さんたちが雨の日にぐちゃぐちゃの通路を歩いているのを見て「これはかわいそうだな」と思いまして。学校側とどこまでどう進めるかご相談させていただき、施工いたしました。作業中に生徒さんが「何をしているんですか?」と興味津々に話しかけてくれたりしたのも嬉しかったですね。

インタビュアー:小川中学校といえば、生徒さんたちが長年「ホタルの飼育・研究」に取り組んでいることでも有名ですよね。
吉川:そうなんです!現場の隣で研究をしている生徒さんたちとお話しする機会があって、ホタルの養殖や研究にかける情熱を聞かせてもらいました。校内にも素晴らしい研究発表が掲示されていて感心しましたね。きれいな水を扱う僕たちの仕事とも、どこか通じるものを感じました。
インタビュアー:地域貢献ということでホタル池の排水詰まりも解消していただき、ありがとうございました!
【プライベート&キャリア】重機好きの少年時代から「水のプロ」へ
インタビュアー:ここからは吉川さんご自身のプライベートや歩みについてもぜひお伺いしたいです。休日はどのように過ごされているのですか?
吉川:子どもが陸上競技をやっていまして、休日はその応援や大会観戦に行くことが多いですね。草薙の陸上競技場やエコパスタジアム(袋井市)によく行きます。
インタビュアー:陸上ですか!大きな大会にも見に行かれるのですか?
吉川:はい。最近も日本代表を決める日本選手権を見るために、愛知県のスタジアム(パロマ瑞穂スタジアム)まで子どもと一緒に遠征してきました。トップアスリートの走りを見せることで、「自分もこうなりたい」とモチベーションを高めてくれたらいいなと思いまして。……まあ、実際のところは遠征先で美味しいものを食べるのが一番の楽しみだったりするんですけどね(笑)。
インタビュアー:グルメ旅も兼ねてご家族で遠征、最高ですね!ちなみに吉川さんご自身は、昔からこの給排水・設備のお仕事を目指されていたのですか?
吉川:いえ、実は最初から給排水を知っていたわけではないんです。ただ、子どもの頃から建設現場で動く重機や大きな機械を見るのが大好きで、「将来は建設関係の仕事がしたい」とずっと思っていました。それで高校は土木科に進学したんです。
インタビュアー:男の子が働く車に憧れる、そのままの夢を追いかけられたんですね!高校時代はどんな勉強を?
吉川:授業や実習を通じて、小型建設機械の運転資格やガス溶接、危険物取扱者(乙種4類)などの資格を取得させてもらいました。卒業後、高校の先輩が活躍していた会社に入社し、そこで初めて「給排水」の奥深い世界に出会いました。その後にご縁があって、現在の会社で働くことになりました。
インタビュアー:そうだったのですね。「青島ポンプ」という社名も、港町焼津の歴史と深い関わりがあると伺いました。
吉川:そうなんです。創業当時は「青島ポンプ製作所」という名前で、昔懐かしい井戸の手押しポンプ(ガチャポン)や、焼津の港で漁船に載せる給排水ポンプを製造していた会社だったそうです。時代の変化とともに施工・管理の分野へ移ってきましたが、「水とポンプの専門家」としてのアイデンティティは今も受け継がれています。だからこそ、災害時に「水が出ない」という緊急事態が発生した際も、自社倉庫に豊富な資機材を常備し、即座に現場へ駆けつけられる体制を整えています。
3D CADと働き方改革が拓く、これからの建設業の未来
インタビュアー:近年、建設業界では高齢化や若手不足が課題として叫ばれています。吉川さんご自身、10年前・20年前と比べて現場環境の変化を感じますか?
吉川:一番大きいのはIT技術の進化ですね。現場写真の電子黒板アプリはもちろん、弊社では3D CADを導入しています。立体的に図面を起こせるようになったことで、建築側の梁(はり)と配管がどこでぶつかるか(取り合い)が事前にパソコン上で一目で分かるようになりました。
インタビュアー:昔は平面的図面を見て頭の中で立体化するしかなく、現場で「梁があって配管が通らない!」なんてトラブルで設備屋さんに苦労をおかけすることもありました……。事前確認ができるのは素晴らしい進化です。
吉川:働き方の面でも、現在は「週休2日制」の導入が進み、土日の休みもしっかり確保できるようになってきています。昔の建設現場にあったような「強面で怖い先輩」も今はまずいません(笑)。未経験で入社しても、優しい先輩たちがイチから丁寧に教えてくれる環境が整っていますし、安全性の向上にも全社をあげて取り組んでいます。

インタビュアー:給排水設備という分野は、学校の学科として扱われることが少ないためイメージしづらい部分もありますが、生活インフラの根幹を支える本当にやりがいのある仕事ですよね。
吉川:水が出なくなった時に現場へ駆けつけ、修理して水がパッと出た瞬間、お客様から「ありがとう!」と直接感謝していただける。この瞬間の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。小川中学校の生徒さんたちにも、普段当たり前のように使っている水や設備の大切さを少しでも感じてもらえたら嬉しいです。
インタビュアー:給排水設備事業者の皆さんの高い技術力と創意工夫、そして地域への想いに支えられていることを、私たち行政側も改めて実感しました。本日は貴重なお話をありがとうございました!
吉川:こちらこそありがとうございました。これからも、皆さんの毎日の暮らしを支えていきたいと思います。
インタビュアー:どうぞよろしくお願いします!
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ページ更新日:2026年8月14日