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方言「た行」

た(7)

  • たぁぶれる
  • たーんと
  • だいじもんじ
  • たつ
  • …だっちょう
  • だで
  • だばあける

たぁぶれる

意味

ふざけて

使用例

わしらん家(うち)ゃ子犬をもらっただけーがたぁぶれちゃってしょんないよー

(私の家では子犬をもらいましたが犬がふざけてこまります)

解説

たぁぶれるは「たわぶる」「たわむれる」で、標準語とあまり大きな違いはありません。しかし、「おとましい」が「おぞましい」という語から発しているのと同様に、比較的みやびやかな言葉が方言として生きているという点では、興味深いものがあります。

たーんと

意味

たくさん

使用例

「遠慮しないで、た~んと食べるさよ。」

(「遠慮しないで、たくさん食べてくださいね。」)

解説

このほか、「ちーっと」「き~ったねぇ」「い~けぇ」など、焼津の言葉は伸ばすのが特徴。

だいじもんじ

意味

大事に、大切に

使用例

「とっといた饅頭がないよぅ!」
「おまんが、だいじもんじにとっといただで、誰も食べちゃったりしないらぇ。」

(「とっておいたお饅頭がないよ!」
「あなたが、大事にとっておいたおまんじゅうですから、誰も食べてしまったりしませんよ。」)

たつ

意味

閉める

使用例

蚊が入ってくるで、戸をたっといてくりょう。

(蚊が入ってくるから、戸を閉めておいてください。)

だっちょう

意味

そうだ

使用例

向かいの家(うち)じゃあ女の子が生まれただっちょう。

(向かいの家では、女の子が生まれたそうだ。)

解説

だっちょうといっても「脱腸」のことではありません。当地方では、「・・・だそうだ」という意味で「・・・だっちょう」という言い方をしました。いかにも、古くからの漁師町ならではの言いまわしといった感じがします。

だで

意味

だから

使用例

だで言ったっきら、ボール遊びすんなって。

(だから言ったでしょ、ボール遊びをするなって。)

解説

「それだから」という意味で、「せーだで」「へーだで」などとも使う。

だばあける

意味

ばかげたこと

使用例

東京へ行ったらマンションに住むなんてだばあけたことを言うもんじゃあないよ

(東京へ行ったらマンションに住むなんてばかげたことを言うものではありませんよ)

解説

「たわける」が変化して、方言になったものと考えられます。初めてこの言葉を耳にする人は、多少荒っぽい感じを受けるかもしれません。子どものころ、おじいさんやおばあさんから、この方言でしかられた人も多いことでしょう。

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ち(10)

  • ちーっとらっつ
  • ちいよんえっ
  • ちっくない
  • ちったー
  • ちみくる
  • ちょびちょびする
  • ちょーらかす
  • ちんちんこめ
  • ちんびくたい
  • ちんぶりかく

ちーっとらっつ

意味

すこしずつ

使用例

はー残り少ないで、ちーっとらっつ、使うさよ。

(もう残り少ないんだから、少しずつ使うんだよ。)

ちいよんえっ

意味

じゃんけんぽん

使用例

ちいよんえっ!

(じゃんけんぽん)

解説

標準語では「じゃんけんぽん」のこと。よっぽど「ちいよんえっ」の方が迫力があり、子ども心にも勝負事に執着する響きがあって、すがすがしい。
もちろん「チョキ」は親指と人さし指に決まっており、自然にこの形が出せれば、焼津っ子として一人前とされた。

ちっくない

意味

小さい

使用例

引きにだまされて上げたらこんなちっくない魚だっきゃあ

((強い)引きにだまされて上げてみたところこんなに小さい魚だったよ)

解説

ちんびくたい、ちんびいなど、同じ意味でいくつかの方言があるというのも珍しい点です。「うちのちんびい(子ども)が・・・」のように物ばかりでなく、小さな子どもの意味でも使われました。

ちったー

意味

少しは

使用例

忙しいだで、ちったー手伝うさよ。

(忙しいんだから、少しは手伝ってよ。)

ちみくる

意味

つまむ

使用例

いいかげんに泣きやまないとちみくるよっ!

(いいかげんに泣きやまないとつまむよ!)

解説

ひとさし指と親指で、皮膚を力強くつまむこと。標準語の「つねる」は、つまんでなおかつ、ねじることである。
つまむ皮膚は、少量であるほど痛いことこの上なし。

ちょびちょびする

意味

口や手を出して

使用例

あの人は、わかりんもしんに他人の仕事までちょびちょびして今に嫌われるよ

(あの人は、わかってもいないのに他人の仕事にまで口や手を出してそのうち嫌われるよ)

解説

「おせっかい」と同様、この方言もあまり良い意味では使われません。「ちょびひげ」という言葉もありますが、方言とは意味内容が異なります。もっとも、人間関係が浅くなりがちな昨今、たまにはこの「ちょびちょび」も必要なのかもしれません。

ちょーらかす

意味

からかう

使用例

あんま、ちょーらかすじゃないよ。すーぐ、泣くで。

(あまりからかうってはいけません。すぐ、泣いてしまうから)

解説

えてして、方言には、汚い言葉や相手を誹謗(ひぼう)する言葉が多いようです。
これもその代表で「からかう」ことです。

ちんちんこめ

意味

めだか

使用例

ちんちんこめが気持ちよさそうに泳いでいるよ。

(めだかが気持ちよさそうに泳いでいるよ。)

解説

この地方では「めだか」のことを、ちんちんこめと言いました。ただ、地域によっては、ちんたんこめと言ったところもあったようです。

ちんびくたい

意味

小さい

使用例

あの子は、体はちんびくたいけん、走るなぁ、はえーでー。

(あの子は、体は小さいけど、走るのは速いんだよ。)

解説

「ちんびい」、「ちんぶい」などとも言う。

ちんぶりかく

意味

すねる

使用例

そうちんぶりかくとおようあんたにも同し物を買ってやるで

(そんなにすねるのはやめなさい。あなたにも同じ物を買ってやるから)

解説

買い物や旅行に出かけた人のおみやげを待つのは、子どもたちにとって楽しみの一つです。しかし、兄弟でもいて、うっかり数でもまちがえて買ってこようものなら誰かが泣いたり、すねる結果となります。いずれにしろちんぶりかくのは、子どもの世界だけにしてほしいものです。

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つ(6)

  • つかます
  • つっからかす
  • づない
  • …つら
  • つらます
  • つんつるてん

つかます

意味

捕らえる

使用例

学校の帰りに木屋川で魚をつかまさざあ。

(学校の帰りに木屋川で魚を捕ろうよ。)

解説

「つらます」ともいう。受身の用法としては「つかまさる」となり、「捕らえられる」の意味になります。

つっからかす

意味

おす

使用例

うしろから人をつっからかすとあぶんないよ。

(うしろから人をおすとあぶないよ。)

解説

静岡県の中部地域に地震の空白域があり、中規模地震の発生が予想されます。万一、地震が起きてもあわてないため、日頃から防災に対する心構えを忘れないようにしましょう。そして、避難する時も決して人を「つっからかす」ことがないよう冷静に行動しましょう。

づない

意味

強い

使用例

そんなこんで泣くのはおよう。ほれづないづない。

(そんなことで泣くのはやめなさい。ほら、強い、強い。)

解説

「図無し(限度がない)」の「並みはずれた」「途方もない」ことから「強い」の意味になったと思われる。転んでもたたいても泣かない、こんな子を「づない子」と呼んだ。泣き叫ぶ子どもをあやすのに、母親がよく使って、ごほうびに飴玉なんかをよこす。

…つら

意味

でしょう

使用例

「早くしないとプレゼントを配りきれないよ」って言っつら

(「早くしないとプレゼントを配りきれないよ」って言ったでしょう

解説

「言っつら」のほか、「いつら」(いるでしょう)、「しつら」(したでしょう)などと使う。

つらます

意味

つかまえる

使用例

変な魚をつらますとおよしよ。

(変な魚をつかまえるのはやめなさい。)

解説

「つかまえる」が転じて「つらます」または「つらまいる」という言葉になりました。

つんつるてん

意味

小さ過ぎる

使用例

わりゃぁ、なんだ、その服は、つんつるてんじゃねぇか。

(あなた、その服はなんなの、小さ過ぎるんじゃないの。)

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て(7)

  • でえ
  • でがある
  • てつけてがえない
  • てんがけ
  • てんこちょ
  • てんだう
  • てんでっこ

でえ

意味

奥座敷

使用例

おりゃあ、いっつもでえにいるでえ。

(私はいつも奥座敷にいるんだよ。)

解説

農家の部屋のつくりは、一般的に田の字型をしており、その奥座敷を「でえ(でい)」という。「おだい(お金持ち)の家は『奥でえ』もあるだよ」と教えられた。

でがある

意味

食べで

使用例

なに、まだ食ってるだかね。でがあって、ええのォ。やっすい飴だに。

(なァに、まだ食べてるの?食べでがあっていいね。安い飴だこと。)

解説

「使い出」「食べ出」から独立した「出」と思われ、数量とか分量を示す。下には、「ある」「ない」を伴った使い方をするのが一般的である。

てつけてがえない

意味

そのまま

使用例

はんべならてつけてげえなくてええら

(はんぺんなら煮たり焼いたりしなくても、そのまま食べられていいでしょう)

解説

てつけてが(げ)えないは、「手つけ手返えない」が語源でしょうか。手をつけてひっくり返したり、こねたりする必要がない、という意味で、そのままでよいことをさします。はんべは、まだ固有名詞、商品名として認知されていませんので、一般にははんぺんと紹介しています。しかし、はんべははんぺんとは材料、製造法も全く違い、味は全国に誇るに足る郷土が生んだ焼津特産品です。

てんがけ

意味

始めから

使用例

ありゃあいけぇことばかり言うけぇがてんがけ文なしだ

(あの男は大きなことばかり言うが始めからお金がないのに)

解説

たべものや土産の自慢をする男を、陰でささやいた会話です。てんがけとは始めから、はなからという意味です。「せぇじゃあ(それでは)この仕事はてんがけにやるか」などという使われかたもします。

てんこちょ

意味

頭のてっぺん

使用例

おめぇ、てんこちょの髪が、はねてらぁ、とんじゃかねぇなぁ。

(あなた、頭のてっぺんの髪の毛がはねてますよ、おしゃれに無頓着ですねぇ。)

てんだう

意味

手伝う

使用例

「お客さんが来てるだで、おまんもてんだうさよ!」

(「お客さんが来ているのだから、お前も手伝いなさいよ!」)

てんでっこ

意味

それぞれ

使用例

ちいーっと遅れそうだでてんでっこに行きまぁ

(少し遅れそうだからそれぞれ別れて行きましょう)

解説

てんでっこにのほかにてんでにという言い方もありました。標準語で言う「てんで」は「まるっきり○○にならない」という意味ですが、「っこ」の文字が加わるだけで意味合いが全く違ってしまいます。方言の楽しさはこんなところにもあるのでしょう。

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と(7)

  • とおさんべえ
  • とかじる
  • どこうら
  • とっつきひっつき
  • とびっくら
  • どべっかす
  • どんかい

とおさんべえ

意味

とうせんぼう

使用例

うわっ、とおさんべぇされてらぁ。この道はやめといた方んええら。

(うわっ、とうせんぼうされてるよ。この道(を通るの)は、やめた方がいいんじゃない?)

解説

お父さんが「あっかんべえ」するという意味じゃない。

とかじる

意味

絡む

使用例

うわっ、髪の毛とかじっちゃったぁ。急いでるのにぃ。

(うわぁ、髪の毛が絡んじゃった。急いでいるのに。)

どこうら

意味

どの辺り

使用例

いま、どこうらを走ってるだかしん。

(いま、どの辺りを走っているのかな。)

とっつきひっつき

意味

まとわりつく

使用例

とっつきひっつきうるさい子だねェ。むこうへ行くさ。

(まとわりついてうるさい子だねェ。むこうへ行ってなさい)

とびっくら

意味

競争、かけっこ

使用例

あんてえは昔からとびっくらんはええっきでえ。
特に逃げるときゃーな。

(あの子は昔から競走が速かったんだよ。特に逃げるときはね。)

解説

「とびっこ」ともいう。

どべっかす

意味

最下位

使用例

せんだっての駅伝一生懸命走ったけーがどべっかすだっき。

(このあいだの駅伝一生懸命走りましたが最下位でした。)

解説

競争やゲームなどで最下位になった時、どべだったとか、どべっかすだったなどと言いました。隣の愛知県でも最下位のことを、どべという地域がありますから、その影響を受けたと考えられます。

どんかい

意味

どのくらい

使用例

どんかい運ぶの。

(どのくらい運ぶのか。)

解説

数や量を表す「どのくらい」の意味で人・物の両方に対して使う。

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このページの情報発信元

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ページID:1648

ページ更新日:2023年7月27日

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