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更新日:2021年4月1日
近年、情報通信技術(Information and Communication Technology 以下「ICT」という。)の急速な発達と、それに伴う情報関連サービスの拡大により、私たちの生活スタイルは大きく変化しています。国や地方自治体は、この変化に合わせ、高度情報化を推進するため、様々な事業を行ってきました。本市においても、これまで2003年3月に「焼津市情報化推進計画(2003年度~2008年度、以下「前計画」という)」を策定し、焼津市の情報化施策の実施に取り組んできました。
前計画策定以降、社会における情報化の進展はめざましく、産業や経済活動のみならず、市民生活を営む上で、大きな変革をもたらしました。今後も経済情勢、社会構造の変化により、市民のニーズは益々多様化・複雑化していくことが考えられます。
当市の情報化施策もこのような状況変化に対応すべくICTを有効に活用し、更なる市民サービスの向上、行政運営の効率化を図る必要があります。
前計画の期間は、2008年度までの6年間としておりましたが、平成20年に焼津市と大井川町の合併が行われることから、2年間延長しておりました。
2008年度の合併時に行われた情報システムの導入状況を踏まえて、新たな「焼津市情報化推進計画(以下「本計画」という。)」を策定し、引き続きICTを活用した行政情報化や地域情報化への取り組みを推進していくこととします。
前計画における基本理念およびビジョンが、今こそ、まさに求められていることであるため、本計画は、全面改定ではなく前計画の基本理念を継承しつつ、最新の情報化施策の考え方を取り入れることとします。
計画期間は、2012年度から2018年度までの7年間としますが、計画作成後においても、社会情勢の変化、技術革新、国の指針や焼津市における情報化推進の実施状況などを考慮しながら、必要に応じて計画の見直しを行っていきます。
なお、本計画を「官民データ活用推進基本法」(2016年)に基づく、本市における「官民データ活用推進計画」として位置づけ、国や県の情報化施策との整合を図り、情報化を取り巻く環境の変化に対応した新たな事業計画を具体的に明記して、事業の推進を図ります。
わが国では、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(通称「IT戦略本部」)が、5年でわが国を世界最先端のIT国家とすることを目標として策定した「e-Japan戦略」(2001年)、そしてそれに続く「e-Japan戦略2.」(平成2003年)などの計画の実施により、社会の高度情報化の推進を図ってきました。そして、一連の「e-Japan戦略」の成果を踏まえて総務省が提唱した「u-Japan政策」(2006年)では、「ユビキタスネットワーク社会」の実現が目標に掲げられています。これは、利用者が「意識することなく、いつでも、どこでも」ネットワークに繋がることができるようになり、情報化の恩恵を受けることができる社会を目指すものです。
その後、国民一人一人がITの恩恵を実感できる世界最高水準のIT国家となるために必要な政府の取り組み等を取りまとめた「世界最先端IT国家創造宣言」(2013年)が閣議決定され、改訂を行いながら政策が推進されてきました。
また、近年、データ流通量の飛躍的な増大と人工知能(AI)等の発展によって、人間の処理能力を超えた範囲でのデータの利活用が可能となり、データの利活用を社会全体に拡げることで、社会課題の解決が図られる可能性が高まっています。このような状況を踏まえ、官民のデータ利活用のための環境を総合的かつ効果的に整備することを目的に、「官民データ活用推進基本法」(2016年)が施行されました。
基本法では、国や地方自治体に対して官民データ活用の推進に関する計画の策定を求めており(市町村は努力義務)、国は、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2017年)を策定しました。
2008年度において、焼津市と大井川町との合併を機に、ホストコンピュータを利用した方式から、主にサーバを使用した個別システムに移行したことにより、情報システムの運用管理の方法に変化が生じています。個々の業務システムの管理は、利用者である業務担当課が中心に行うこととなったことから、分散したシステムを市全体としてどのように方向付けしていくかが課題となっています。また、マルチベンダ環境の中、技術進歩の著しい情報通信技術やWebアプリケーションに関する知識を前提とした業務にどう対処するか等も新たな課題となっています。さらに、個人情報保護対策や情報セキュリティ対策のより一層の充実が求められています。
このような課題がありますが、厳しい経済情勢、社会情勢の中、より一層の効率的行政運営が求められており、情報政策部門においても例外ではありません。限られた予算、人材配置の中でどの様な組織体制を構築するかが喫緊の課題となっています。
本計画においても前計画の基本理念及びビジョンを継承していきます。
基本理念を実現する3つのビジョンのうち、「ビジョン1」は庁内におけるICT活用のイメージ、「ビジョン2」は市と市民とを結ぶインターフェイスとしてのICT活用のイメージ、「ビジョン3」は市民と協働し、地域の活性化や街づくりを推進していくイメージを表しています。
これらの3つのビジョンを支える基盤として、「(1)職員の意識改革の推進」、「(2)情報化推進体制の強化及び研修の充実」、「(3)情報セキュリティ対策の徹底」、「(4)情報通信基盤の整備」に取り組んできました。
前計画期間中において、「ビジョン1」に対する取り組みは、ほぼ達成していますが、「ビジョン2」及び「ビジョン3」に対する取り組みが今後の検討事項として残っています。
また、基盤整備については、情報セキュリティ対策や情報通信基盤の整備等を中心に整備されてきましたが、平成20年度の合併を機に組織や情報システム体制が大きく変わったことから新たな情報推進体制の整備が求められています。
これらのことを踏まえて、本計画では、費用対効果等を考慮し、「市民の視点に立ち、市民とともにつくるeYaizu(いい焼津)」を目指して取り組んでいきます。
現在、市役所の窓口対応は開庁時間内に限られており、閉庁時は市民の具体的な問い合わせに対応することができません。しかし、ライフスタイルの多様化が一般化した今日、いつでも市民からの相談に対応できる行政サービスの必要性が高まっています。
そのため本市では、人工知能(AI)がインターネット上の市民からの問い合わせに自動回答する「AIチャットボットを活用した相談窓口」を設置します。
このシステムは、AIが、あらかじめ用意されたよくある質問(FAQ)に基づいて回答するもので、対話型の「チャット」により質問を絞り込むため、質問者に具体的な答えを返すことができます。これによりスマートフォンやパソコンなどを使用した問い合わせに、24時間、365日対応できるようになり、市民サービスが大きく向上します。
市では現在、同報無線、携帯電話やスマートフォンを利用した「やいづ防災メール」、ホームページでの情報掲示など、情報伝達手段の多様化を図り防災情報を伝達しています。
しかし、同報無線の放送は周辺環境などによって聞こえにくい場合があり、特に大雨などの悪条件時には建物内で聞き取ることは困難です。また、防災メールやホームページなどといった情報伝達手段も、高齢者や障害者などの情報弱者にはなかなか普及が進んでいません。
このような背景から、災害発生時に全ての市民が平等に緊急情報を取得できる環境を目指し、建物内でも確実に情報を受信できる「ラジオ型」と「テレビ接続型」の2種類の新型戸別受信機を導入します。
これにより、今まで災害情報の取得方法が限られていた高齢者や障害者なども、自身の状況に合った受信機を選択することができるようになります。
災害発生時、通信集中による障害で市民所有のスマートフォンなどでは、災害情報の入手が一時的に困難になることが想定されます。また、災害で市役所庁舎間をつなぐ有線回線に障害が起きた場合、業務に大きな支障が発生します。
そのため本市では、地域広帯域移動無線アクセス(以下「地域BWA(Broadband Wireless Access)」という)システムを活用し、避難所等における無線通信(Wi-Fi)環境の整備と、庁舎間ネットワークの多重化を目指します。
地域BWAは、サービス区域を1市町村内に限定した高速、大容量の無線システムで、暮しの中の幅広い分野でのICTの利活用に有効な技術です。
行政が優先制御により通信を確保することができ、災害時でも通信集中による障害が起こりにくく、高速データ通信が可能となります。この地域BWAを活用し、避難所等に対応したアクセスポイントや情報端末を設置することで、市民は避難時でも災害情報を入手することが可能になるほか、庁舎間の有線ネットワークのバックアップ回線としての役割も期待できます。
この取り組みを実施するために、まずは自治体と地域の通信事業者が協定等を締結し、地域の公共の福祉に寄与するサービス計画を作成する必要があります。
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